その計画は、一日前から始まった。
私「明日あの店に行こうよ。あのオモチャとかシールとか色々売ってる、”s”で始まるあのお店」
息子「うんうん!いこうこう!(瞳ががキラキラ)」
幼稚園ママあるある…夏休みサヴァイヴァル問題…
連日の猛暑の中、昼間は公園を見渡しても人っ子一人おらず。
もう、ここまで暑くなると子供を外で遊ばせるのは難しい。
夏休みが始まってからというもの、外出は涼しくなる夕刻の昆虫採集のみである。
昆虫採集と言っても、目指すはマンションのエントランスまわりの植え込み。
ここを、息子と勝手に「下の公園」と呼んでいる。
コロナ禍の中、屋内のレジャー施設に連れて行くのもはばかられ…
母ちゃんは、「自宅、幼稚園化計画」を実行することにした。
母ちゃんと息子、魔界の扉を開ける
”s”で始まるあのお店、
あのお店とは、庶民の味方100円ショップの”seria”である。
日用品からインテリアまで何でもそろう夢の世界。
夢の扉を開けると、
そのプライスからは想像もできないクオリティとクオンティティの雑貨達が、「私を見て、あなたのお家へ連れてって!」と言わんばかりにひしめき合っているのだ。
その声を一度聞いてしまったら、もう誰も止められない…。その誘惑に身を任せ、時間を忘れて、お買い物。
そう、そこは夢の扉とは名ばかりの、一度入ったら抜け出せない「魔界への入り口」なのである。
抜け出せない…んん?どこかで聞いたママ友社会の話ではあるまいし…
とにもかくにも、母ちゃんと息子は、その魔界の扉を自ら開けに行ったのだった。
魔界から持ち帰ったもの
魔界では、子供と買い物で勃発するお決まりのすったもんだがあったのだが、どうにかこうにか乗り越えて、母ちゃんと息子は無事に生還した。
額には、暑さのせいか魔界のせいかよく分からない大量の汗をかき、右手には魔界で手に入れたいくつかの戦闘グッズを握りしめて。
夏休みを家で乗り切るための戦闘グッズ。
色紙、ふうせん、おりがみヒコーキ、小麦粘土、オセロ、クラッカー(不思議なチョイスである)、画用紙等々…
これで、あと40日戦えるのだろうか、母ちゃんは不安でならなかった。
本日晴天、紙ヒコーキ日和なり
帰宅後、さっそくどの武器で戦うかと聞くと
「コロナで旅行に行けないから、ヒコーキを作る。」と息子。
「そうだな。」と母。
母ちゃんも、まったく同感である。
カクテル片手に肌を焼くスタイル抜群な母ちゃんが頭をよぎる。もちろん、肌を焼くのもそのスタイルも妄想上のものだけれども。
さて現実に戻り、魔界で買った「おりがみヒコーキ」は、その値段からは想像もできないほど精巧で魅力的な飛行機を作ることができる、夏休みの工作にはもってこいの代物だった。
ヒコーキには4種類の型があり、スーパーイーグルやら、パワーウルフやら5,6歳の少年がいかにも飛びつきそうな、しかし母ちゃんには意味不明な名前が付けられていた。
折り方通りに作って飛ばすと、直進するもの、円を描くもの、低空飛行するものなど、飽きずに遊べる工夫までされているのだから、今どきの100均は実に進化したものだ。
魔界め、なかなかやるな。母ちゃんは心の中でガッツポーズを作る。
おりがみヒコーキに親子で魅了されること、数時間。
今日の「youtube見たい~!!」攻撃はなんとか阻止できそうだ。
母ちゃんは、”seria”で手に入れた戦闘グッズに、夏休みをサヴァイブする一筋の光をみた気がした…。
息子よ、世界が困難を乗り越えたら、一緒に空を飛ぼう!紙ではなく、もちろん鉄の塊のほうで。
繊細さわこのひとりごと
僕がみせられる夢はここまでです
~2020東京五輪 内村航平のことば~
日本中が「あっ」と叫んだ瞬間だったと思います。何とも言えない気持ち、悔しいけれど、でも、とにもかくにも「今日は、お疲れさまでした」と言いたいです。